
B-1a に全段使用されている
NチャンネルSIT(Static Induction Transistor 静電誘導型トランジスターの略)の記号が放熱器としてデザインされています。
(ちなみにPチャンネルは矢印が逆でゲート向きになります。)

普通のFET(横型FET)の記号は→ 矢印がありませんし足が直角になっていますよね。
SITは昔は縦型FETとかV-FETと呼ばれていたものです。
FETが基板横方向に電流を流すのに対し、縦型FETは電流を縦方向(厚み方向)に流すため、そう呼ばれたそうです。
そのため(横型)FETは内部抵抗が高く、真空管の5極管に近い特性を持つためパワーアンプの出力段(ファイナル)には適さないといわれています。
その点、縦型FET(SIT)は電流経路が広くて距離が短いため、内部抵抗が低く抑えられ真空管でいうところの3極管に非常に近い動作をする、あるいは3極管以上の理想的な直線性をもったトランジスタということで注目されソニー、YAMAHAなどからアンプが発表され話題になりました。
特にAB級プッシュプル(最近のアナログアンプはほとんどがこの回路構成ですが・・)での入力 対 出力特性をバイポーラトランジスタ とSITと比較した際、SITはアイドリング電流にかかわらず A級動作からB級動作にかけて非常に直線性が高くリニアに移行するというデーターがでています。

音を聴くと、確かにさらさらで 歯切れが良く 歪の少ない3極管の音色に近いですね。
「フォー・ラヴァーズ・オンリー 伊藤君子 SICP-10102」を聴くと、ボーカルのバックに入っているストリングス・アンサンブルで コントラバスあたりの低い音色から超低域にかけて「ゴリゴリ、ギーギー」といったニュアンスで非常に解像度高く、しかもきれいに再生してくれます。
低音部分ですが、あまくなったり、音像が大きくなったりしません。
デジタルドメインさんの設計はきれいな音だけではなく低い音の押し出しも結構強い音になっています。
是非、お確かめください。
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